“Steam vs GOG” PCゲーム販売メディアの仁義なきSale合戦に明日はあるのか
Steam と Good Old Games(以下GOG)は利用していない方からすれば、同じようなPC洋ゲーム販売サイト、のように思えるかもしれませんが、実は力を入れている部分や特徴が微妙に異なっているんです。どのように使い分けるべきか独断と偏見を交えて解説(?!)します。
既に両方とも利用している方にとってはあまり閲覧する価値のないコンテンツかもしれません。
Contents
Steamの特徴
Half Life シリーズの開発元valve社がCounter Strikeの自動更新をしてくれるシステムとして認知されていましたが、今の日本ではHalf LifeシリーズのValveというよりもSteamのValveと言った方が通りがよいようです。
情報源はファミ通のみ、という感じの日本のライトゲーマーでも知っているSkyrimのようなビッグタイトルから、Publisherに従属関係のない独立開発系の尖ったゲームでもほぼ万遍なくカバーしています。
Steamではほぼ個人に近いような小規模な開発体制のゲームでも、大規模なパブリッシャーがついているビッグタイトルでも、マウス操作一つでstore pageが切り替わってしまうので、ほぼフラットに販売されていると考えて良いでしょう。
また、開発中のゲームのでもムービーやスクリーンショットをみせて、Steamでリリースしたら購入したいかをUserに問い、ゲームのpublishを促進するSteam Green Lightというシステムもあります。
Steam ClientはSNSやメディア機能を兼ねる
Steamのfriend機能やコミュニティはある意味twitterやFacebookよりも濃密です。互いの購入したゲームを評価したり、friendの誰がどれくらいゲームをプレイしているかがわかったり(自分がどの程度情報を公開するかはコントロールできます)他人にゲームを勧めたりレビューを書いたりできます。90年代に濃い目の個人ゲームサイトをやっていた人も自分のpageを作るのをやめて便利さのあまりsteamに移住してしまった人も多いようです。
独自のclient Programからゲームを効率よく管理
Steamからゲームを購入するだけならwebブラウザからだけでもできますが、installと管理、その他もろもろ複雑なことをするためにはSteam Clientをinstallする必要があります。Steam ClientはWindows版だけでなくMac, Linux(Ubuntu系推奨?)版も存在します。
最近ではコンシューマゲーム機のゲームでもそうですが、リリースされてから頻繁にバグが修正されたりバランスが再調整されたりします。そういったゲームのupdateが楽になります。linuxや*BSDのpackage管理システムでプログラムを管理するのと(ほんの少し)似ています。
また、あらかじめプレゼント用途にゲームを購入してフレンド登録している相手に贈与することもできます。
GOGの特徴
CD Projektというポーランドの会社が運営しているのですが、もともと古い(90年代のDOS環境)のゲームをPCのハードウェアと疑似的なMS-DOSをエミュレートしたDOSBOX の同梱パッケージをpdf化したマニュアルや攻略本や各種サウンドトラックなどを付けて販売している洋レトロゲーム専門ダウンロード販売サイトというノリでした。
ここ数年は比較的高性能なPCでないと実行不可能なWindows,Mac,Linuxでネイティブで動くゲーム(要はいまどきのPCゲーム)を扱うようになりました。いわゆるNvidiaのグラフィックカードがないと遊べない重いゲームです。Steamと同じように独立開発系のゲームも数多く扱っています。
最近はMovie(映画の動画ファイル)を販売し始めました。
(日本語wikipedia記事:DOSBOX)
DRMフリー
steamでは購入したコンテンツに関してとても厳しく逐一・管理・監督・監視しているという感じですが、GOGは一度購入したコンテンツの利用に関して、デジタルコンテンツの海賊版などには厳しく対応するものの、ユーザーの利用に関しては個々のユーザーの良心に任せるという立場です。
GOGで一度購入してダウンロードしたゲームは認証なしに起動します。ある日突然internet環境がなくなっても、大丈夫です。要は昔のPCゲーム環境とほぼ同じような感じになります。
GOGではDRMなど無い方がユーザーにとっても開発者にとっても販売者にとっても益があると考えています。
メディア機能やSNS機能は後発でまだまだ弱い
2015年の5月あたりからGOG Galaxyという独自clientプログラムの配布が始まり、webブラウザでなくてもGOGで購入したコンテンツの管理やSNS機能のようなものもできるようになりつつあるみたいですが、まだまだ実験段階という感じです。
個人的にはSteamのマネをしても追いつかないと思うので、GOGはレトロゲームをしっかり出し続けて欲しいと思うのですが…。まあレトロゲームを売ってもあまり利益は出ないでしょうからね。新作にせよ旧作にせよDRMフリーで販売してくれるというのはとても素晴らしいことなのでGOGには潰れて欲しくないですね。
個人的には富士通FM-R,FM-TOWNSやSHARPのX68000、NECのPC-88,98などの日本独自規格のパソコンのゲームも扱ってほしい…。まあ日本人でGOGをやっている母数が少なさすぎるので市場として成立しそうにありませんが。
MSXやAMIGA(昔あった独自アーキテクチャ、独自OSのパソコン)や白黒時代のMacの珍しいゲームもそこそこ需要がありそうなので、GOGで扱ってほしいです。
SteamとGOGでは結局どちらが良いのか
どちらも良い。が正解です。どちらもアカウントを作成しておき、適宜使い分けるべきです。
8月,12月(クリスマスから年末)にかけてSale合戦が繰り広げられるので、買う予定のゲームはWishlistに入れておき、Saleの対象となったら価格を調べて安い方で買う、というスタイルですね。ただし、同一のタイトルで価格が同じ場合でもパッケージの内容が微妙に異なっていたり、収録されているプログラムのversionが異なる場合があります。
GOGで買った方が良いのではないかと思えるケース
STAR WARS™: TIE Fighter
TIE Fighterとはダースベイダー卿率いる銀河帝国側の兵士となり反乱軍(同盟軍)とスペースドッグファイトを繰り広げる激アツのゲームで、このたびSteamとGOGで再販されることになったのですが、
Steamで購入すると、MS-DOS版のCollector’s CD-ROM versionは含まれず、DOS版は一番最初のへちょいグラフィックのオリジナルバージョンと、評判の良くないDirectXのWindows版の2つしか入っていないのです。
この点GOGはぬかりなく、MS-DOS版のCollector’s CD-ROM versionも入っています。
Heroes® of Might & Magic® III
Steamで売っているHeroes® of Might & Magic® III – HD Editi
onはHD版と銘打って最近リリースされたのですが、ゲームそのものは良いけどプログラムの出来が悪くてオリジナル版よりもかなり劣化しているとの評価です。
その点、GOGが販売しているHEROES OF MIGHT AND MAGIC® 3: COMPLETEはオリジナルそのものですから、劣化のしようがありません。Steamのコミュニティのreviewでも皆でGOG版に誘導している有様です。
MS-DOS時代のタイトルの場合、パッチプログラムやマニュアルなどの用意周到な整備っぷりを考えても大抵GOGに軍配が上がります。Steamは古いMS-DOS時代のプログラムやemulatorにそれほど関心は払っていない印象を受けます。(あまり儲からないからということもありますが)
Steamで買った方が良いのではないかと思えるケース
Strongholdという名作Real Time Strategyのリメイクパッケージ(高解像度版) Stronghold HD が数年前に発売されたのですが、Steamが販売しているpackageでは日本語字幕・日本語インターフェースが付いています。
一方GOGでもStronghold HDを販売していますが、こちらは日本語字幕はなしですね。(6か国語に対応しているが日本語だけが無い。)
残念ながら石塚運昇さんの吹き替え音声があるのはメディアクエスト社が移植した日本語版パッケージ(絶版)のみのようです。
参考: ニコニコ動画【閣下は】ストロングホールド第1回実況プレイ【暴君です】
既に購入したパッケージにコンテンツが追加される場合もあるので要チェックです。
どこで買っても結局は積みゲーになってしまうのですが、これからどんどん円安が進行していくのでupdateがなされることのない枯れたゲームは買っておいても損はないでしょう。
Blizzard Entertainment社のゲームはSteamでもGOGでも扱ってない !
Blizzard Entertainment社のゲームは世界大会なども開催されており、この会社のゲームのタイトルを専門とするプロゲーマーも多いです。
和ゲーonlyな方でもカプコンが数タイトル日本語版を出したりしているので知っている人も多いかも ?
高品質なゲームを絞りに絞って数年に一本とかのペースでしかpublishしないのに、物凄く売れてしまうBlizzard Entertainment社のゲームは扱わせてもらえないようです。
私は90年代にソースネクスト社が移植していたWarcraft 2のDOS/V版からお世話になったのですが、
日本でBlizzard社が有名になったのはWindows95上で動くDiabloかな。最近PCゲームをやるようになった人や若い方は知らない方も多いかもしれませんが、Diabloは別に英語のメッセージをちゃんと読解しなくても普通に遊べるゲームだったので、日本でも並行輸入版が結構売れました。Windows95時代にも日本で英語版のコンピュータゲームをやる人は案外いたのです。
Blizzard Entertainment社はSteamやGOGに頼らずともゲームを大量に販売する力をもっているので、SteamやGOGはむしろ対立する存在という感じのようです。
参考: why isn’t blizzard on steam? Steam User’s Forum
DOS時代のゲームなどはBlizzard社からも買えなくなっているので、GOG WishlistにはWarcraft 2の希望が挙がっているようですが可能性は微レ存といったところでしょう。
まとめ
- アカウントは両方登録しておいて、価格の安い方で購入
- 同じ製品のようで違う中身のものがあるから要注意
- 同じ価格で同じ内容ならGOGはDRMフリーなので便利、ただゲームの管理をより楽にしたい場合はsteamに一日の長がある
- 日本語関係では若干Steamに軍配が上がる
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